墓石クリーニングで酸性洗浄液使うならこれぐらい知っておこう

墓石クリーニングで使用する酸性洗浄液の説明

ご存知の方も多いと思いますが、酸性洗浄液は石材を傷めるので使用する場合はそれなりの知識が必要です。

ココでは酸性洗浄液についての基礎知識を書いていきます。

結論を言えば「酸性洗浄液を選ぶのは難しい」という話です。

酸性洗浄液を購入したり、使用する際の参考にして頂ければ幸いです。

目次

酸性洗浄液はヤバイ

「酸性洗浄液は石を傷めるからねぇ」という話は石材店様からもよく聞きます。

酸性洗浄液によって黒御影石の艶を白く荒らしてしまったり、酸性洗浄液によって石材が酸化して変色してしまった経験があったり、そのような事例を聞いているからだと思います。

まずは酸性洗浄液の強さについて説明します。

pHが強さの指標ではない。

pH0~6が酸性ですが、正確にはpH0~3を酸性、pH3~6を弱酸性と呼びます。従って「強い酸性洗浄液」というとpHが0に近いという発想になりますが、それだけで判断できないのです。

というのも業務用の酸性洗浄液の多くはpH0~3です。その中でも石にダメージの強いもの、石へのダメージの弱いモノが存在します(多かれ少なかれダメージはあります)

では何が指標になるのか?

酸性洗浄液に使われている酸は多様です。クエン酸・リン酸・塩酸・酢酸・硫酸・・・

これらは無機酸と有機酸に分類され、有機酸より無機酸の方が強いとザックリ分類は出来るかもしれませんが、洗浄液はこれらの酸が幾つか組み合わされて出来ていますので分類は難しいです。

どの水垢にどの酸が効くのか?/どの酸がどの石材にダメージを与えるのか?

カルシウムスケール・酸化鉄スケール・シリカスケール・・・水垢にも種類があります。どの水垢にどの酸が効くのか?

例えば塩酸はカルシウムスケールと酸化鉄スケールには有効ですが、シリカスケールには効きません。シリカスケールに効くのはフッ酸です。

酸性洗浄液を正しく使って水垢を落とすには、その水垢がどの種類の水垢か?を見極める力と、その水垢に効く酸は何か?その酸の入った洗浄液は何か?という知識が必要になるというわけです。

一方で墓石には様々な石材が使われますが、どの酸がどの石材にダメージを与えるのか?という相性もあります。

水垢を強力に落とす洗浄液を「強い酸性洗浄液」とする場合、カルシウムスケールを良く落とす洗浄液でもシリカスケールを落とさないならそれは「強い洗浄液」でしょうか?

黒御影石の表面を白く酸焼けさせてしまう洗浄液を「強い酸性洗浄液」として”ウチでは使用しない”としても白系の石にはとても有効な洗浄液かもしれません。

酸性洗浄液の強さは一概に決められない

本当に最適な酸性洗浄液はそれらの複合的要素から選定しなくてはいけません。この水垢にとっては強い酸性洗浄液であっても別の水垢にとっては強くない。

この石材にとっては表面に強いダメージを与える強い酸性洗浄液であってもこの石材にはそのダメージは気にならない。

それが酸性洗浄液です。最適な酸性洗浄液を選ぶのは難しいというわけですね。

テスト施工について

酸性洗浄液の取扱説明書にはだいたいこうかかれています。

目立たない部分でテスト施工をしてください

それは必要な事なのですが、次の事を知っておいてください。

ダメージは時間が経過してから現れる場合がある。

洗浄液を塗布した途端に変色などの劣化が目で見てわかる場合ばかりではありません。その影響が数時間後、数日後に出てくる場合もあります。塗布してすぐに「ダメージは無さそうだ」と判断するのは危険です。

濡れた状態では気付かないダメージが発生している場合がある。

墓石クリーニングあるあると言っても良いかもしれませんが、洗浄している最中は石が濡れた状態を見ています。そこで汚れが取れたと判断しても乾いてみたらまだ残っていた。という事が良くあります。

同じようにテスト施工で濡れた状態で”ダメージは無い”と判断しても乾いた状態でよく見たら艶が無くなっていた。という事があります。特に黒御影石の艶落ちについては見逃しやすいので気をつけて判断してください。

酸性洗浄液を使わないという選択肢もあります。

墓石クリーニングを事業に取り入れる業者様の増加にともない、競争も激しくなってきています。「よりキレイにします」と石材へのダメージをかえりみず、白くキレイにする合戦が繰り広げられる結果、貴重な天然資源である石材が痛んでいく事を危惧しています。

私は極力酸性洗浄液を使用しないクリーニングを提供しています。酸性洗浄液を使用した方が短時間でキレイになるかもしれませんが、ただキレイにすればいいというわけでは無い事を理解頂く事、また、それ以外の方法で十分キレイにする事が出来れば「石材を傷めない洗浄方法」として十分お客様に満足いただけると思っています。

まとめ

いかがでしたか?

「この石材にこの酸性洗浄液は大丈夫」と判断するのは難しい。という事は分かって頂けたと思います。

“酸性洗浄液を使わない”という選択肢を取り入れる事を検討して頂くとともに、酸性洗浄液を使用する場合は知識や経験を持った施行者にお願いするか、アドバイスをもらえる環境での施工をオススメします。

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