墓石の汚れや劣化の種類とコーティングが効果的な理由

もしあなたが石材店にお勤めであったり経営されているなら

  • 建墓後数年でサビて黄色くなってしまった墓石をご存知では無いですか?
  • 建てたばかりなのに木の実や樹液でいたるところにシミが出来てしまって困ると相談されたことはありませんか?
  • 磨き上げ、ピカピカだった黒御影石が色落ちするのを防ぎたいと思った事はありませんか?

 このような経験をお持ちの石材店様向けに、お客様に満足いただけるコーティングの提案をして頂くための情報提供をしています。結論から言うと墓石の汚れや劣化は水(雨水)が大きくかかわっています。更に紫外線による劣化も防止できるガラスコーティングはオススメです。

 「新品の石材が〇年後にこうなりました」という写真が用意出来れば良いのですが、それはなかなかできませんので過去にSNSで紹介したクリーニングのビフォーアフター写真を参考に入れながら説明します。

目次

サビの発生原因

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 サビには2種類あって、一つが「もらいサビ」鉄製のものを石材の上に置いておくなどして、外部で発生したサビが石材に移るパターン。それと石材内部の鉄分が酸化して表層に出てくる「持ちサビ」と呼ばれるパターンですね。

もらいサビ

 もらいサビの場合は、サビ取りも比較的簡単にできますし、原因となる鉄製品などが特定できればそれを除去すれば再発防止もできると思います。
 コーティングをしてあるともらいサビがあった場合もサビが石材の中まで浸透しにくくなります。

持ちサビ

 厄介なのはこちらですね。石材内にある鉄成分が酸化してサビが発生するケース。サビ取り剤では取れない事もありますし、取れても再発の可能性が高いです。

 なぜ持ちサビが発生してしまうのでしょう?墓石として加工される前、採石場ではサビは出ていなかったはずです。だから墓石として加工されています。
 墓石になったから空気と雨水にさらされるようになりました。《鉄分+空気+水=サビの発生》と言うわけです。コーティングをすればそのうち雨水をシャットアウトするわけですから、サビの発生はかなり抑えられます。

サビ以外のシミ

植物由来のシミ

 サビ以外のシミでは献花や墓地の周りにある樹木から落ちてくる花、木の実、樹液など植物由来のシミが挙げられます。これらの水分が石材の中に浸み込んでしまってシミになります。コーティングをすれば浸み込みがかなり抑えられます。木の実が落ちて黄色くなってしまっても水洗いとブラッシングでだいたい落とすことが出来るようになります。
 鳥の糞によるものも考え方は同じです。汚れがついてすぐであれば水洗いで取れることが多いですが、浸み込んでしまうとやはり厄介です。

木枠のアク

 加工された墓石が石材店に入荷した後、木枠にはいったまま屋外に置いておき雨が降ると木のアクが墓石にシミを作ってしまう事があります。この場合はまだ梱包された状態なのでコーティング以前の問題です。
 スペースの問題もありますが、入荷した石材は出来るだけ屋根の下に置くのが理想ですが、どうしても屋外に置かなくてはいけない場合は養生シートをかけておくなど工夫されている石材店様もいらっしゃいますね。

水垢

 水垢は雨水が墓石の上に溜まり、水分のみが蒸発したあと、雨水の中にあったホコリや花粉、カルシウム成分などが残って蓄積されたものです。
 最近の墓石は角に水が溜まらないようにR形状にしたり、外側に水が流れるように微妙に勾配を付けるなどの工夫がなされています。コーティングしても上にのってしまう水や汚れは防げませんが、このように水が流れるように工夫された墓石では更に水が流れやすくなるので、相乗効果で水垢は付きにくくなります。
 また、水垢が石材の中に根を張るようにはならないので掃除での除去はしやすくなります。

カビ・コケ

 ある建造物で使われている石材を調査した結果、その石材の中のバクテリアの数はその周りにある土に含まれるバクテリアの数の100倍以上でだったそうです。勝手なイメージで土の中の方がバクテリアが多いと思っていましたが、石材内はバクテリアにとって住みやすい環境なのですね。
 そのバクテリアは水を栄養素にしてカビやコケという形で現れてきます。コーティングで水の侵入を防げばカビ・コケの発生は当然抑えられますし、抗菌剤が入ったコーティングを使用すればバクテリアの活動自体を抑える効果もあります。

エフロレッセンス・サブフロレッセンス

エフロレッセンス

 石材の下に施工されたセメントの成分が水によって溶けだし細孔を通じて石材の表に出てきてしまった症状で白華とも呼ばれます。墓石よりも階段などモルタルを多用して薄い石材を貼っていくような箇所で多くみられます。
 石材とセメントが接している面から吸い上げる事を防止するのが有効なので石の裏面のコーティング(防水処理)が有効です。

サブフロレッセンス

 エフロレッセンスは水によって溶けだしたセメントの成分が石材の表に出てくる状況でしたが、表層まで達せず石材内に残って水分のみ蒸発してしまう現象です。エフロレッセンスは酸性洗浄液で落とすことができますが、サブフロレッセンスはそれが難しいです。対策は同じく裏面のコーティングです。

 裏面コーティングは建墓前でないと施工が出来ません。フロレッセンスが出てから後悔する前に処理をしておくことをオススメします。

セメントだけが原因ではない

 フロレッセンスの原因はセメントの中の成分だけでなく水に含まれている塩の成分もあります。土に含まれた水はもちろん、潮風もその原因になりえます。

塩による影響

 塩はフロレッセンスの原因になりますが、清める意図でお墓に塩をまく人が居るという話を聞きました。その行為自体を否定する気はありませんが、そのお墓はかなりダメージは受けていました。
 近隣の墓石にも影響が出る可能性がある事を墓地の管理者から説明され、納得の上現在は塩をまくのをやめたそうです。

画像参照元 https://nobon.me/?p=71050

 また、言うまでもなく塩はサビを誘発します。海が近い墓地ではやはりサビが発生しているお墓が多いです。静岡県は海に面していますので潮風による影響は考えておくべきだと思います。
 沿岸地域はコーティングによるサビ防止をオススメします。

紫外線劣化

 水垢を取ったら下が黒くなっていて“水垢取れてない?”って思う事がありますが、特に黒御影石では紫外線により石材の色が白化してしまい、紫外線の影響を受けない水垢の下だけがずっと黒いという状況があります。
 黒御影石の他にも万成石などのピンク系の石も紫外線劣化の影響を受けやすいです。

 紫外線劣化する前の新規建墓時にガラスコーティングするのがおすすめですが、劣化して色が薄くなったり艶が無くなった石材にガラスコーティングすることで濃色化、艶の復活が期待できます。

まとめ

 いかがでしたか?以下に汚れや劣化の種類と原因・おすすめのコーティングをまとめました。

汚れや劣化の種類原因効果的なコーティング
サビ・空気・塩ガラスコーティング・フッ素シリコーンコーティング
サビ以外のシミ花・木の実などの植物・鳥の糞などの水分ガラスコーティング・フッ素シリコーンコーティング
カビ・コケ石材内のバクテリア・ガラスコーティング・フッ素シリコーンコーティング
木枠のアク雨水で濡れた木枠コーティング施工不可(施工前)
水垢雨水に含まれたホコリやカルシウム成分などガラスコーティング・フッ素シリコーンコーティング
フロレッセンスで溶けだしたセメント内の成分裏面コーティング(水性浸透型)
塩害清め塩・潮風・に含まれる塩分ガラスコーティング・フッ素シリコーンコーティング
紫外線劣化紫外線ガラスコーティング

 墓石の汚れや劣化に水(雨水)が多く影響している事が分かって頂けると思います。お客様にコーティングをオススメする材料にして頂ければ幸いです。

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