墓石コーティングのサンプルを作成しました。

石材店様がお客様に説明する石材のサンプル板を利用して作成しています。
この記事ではこのサンプル版でお客様にお伝えしたい内容が書いてあります。
研磨部はセラミックっコーティング
文字などの彫刻部にはフッ素シリコーンコーティング
特に黒系の石は字彫り部をセラミックコーティングすると文字が読みにくくなってしまう事を知っていただき、それに対する対処法をお伝えしています。
研磨部はセラミックコーティング
このサンプルには2種類のコーティングがしてあります。
まずはコレがメインのコーティングですが、セラミックコーティングというものを研磨面の右側2/3にしてあります。
下の画像の黄色い部分にしてあるのですが、写真ですとその違いは分かりにくいと思います。

正直サンプルの実物を見ても分かりにくいのですが、実際お墓のサイズになるとその深い艶にきっとご満足いただけます。
下の写真は同じ石種で向かって左がセラミックコーティングを施工したもの、右が未施工です。その艶の違いは歴然としています。

【セラミックコーティング】
石材にある水を吸い込む穴(細孔)をふさぎ、水の侵入を防ぐことにより水に起因する石材の汚れや劣化(カビ・苔・サビ..etc)の発生を防ぐとともに、表面に被膜を作ることで紫外線劣化からも保護。表面の被膜は石材に深い艶を与え、高級感が出るという効果もあります。
文字サンプルの説明
「梅」コーティング無し

文字の中も周りの研磨部もコーティングされていません。このように黒系の石材は彫刻部した箇所は研磨部と比べて色が白っぽくなります。研磨部とのコントラストで文字が読みやすくなっています。
「桜」文字の中にセラミックコーティング

文字の中をセラミックコーティングしてあります。表面に被膜を作るセラミックコーティングは彫刻部に施工すると研磨部と同じように濃い色になるので、文字が目立たなくなってしまいます。コーティングを施工する際はコーティング剤を染み込ませるので、既に文字が彫られている場合それを避けてコーティングすることはできません。
「藤」研磨部はセラミックコーティング、彫刻部はコーティング無し

研磨部にセラミックコーティングを施工した後に字彫りをすればセラミックコーティングと文字のコントラストの両立が可能です。自社で字彫りを行っている石材店様はこの工法が可能です。
「桃」字彫り後にフッ素シリコーンコーティング

研磨後に字彫りを行うと、セラミックコーティングを彫刻の両立が可能ですが、文字部がコーティングされておりません。研磨部と比べ、水を吸いやすい彫刻部は汚れやすいので、彫刻部こそコーティングしたい部分です。
そこで文字部にはフッ素シリコーンコーティングを施工します。コーティング無しと比べて若干色が濃くなっていますが十分コントラストは出ています。
①研磨部のセラミックコーティング
②字彫り加工
③字彫り部にフッ素シリコーンコーティング
という工程になり手間はかかりますが、これで研磨部も字彫り部もコーティングされ、それでいて文字はちゃんと読める状態が確保できます。新規建墓時はこの施工がおすすめです。
【フッ素シリコーンコーティング】
細孔を埋めて水をシャットアウトすることが出来ます。それでいて表面に被膜を作らないので外観はほとんど変わらずに施工できます。
「椿」白ペイント

新規建墓時にコーティングする場合は上記のようにセラミックコーティングとフッ素シリコーンコーティングの併用が可能ですが、既設墓石、つまり既に建っている墓石をクリーニングしてコーティングする場合はそれが出来ません。
文字を目立たせるために白くペイントするというのが対処法の一つです。白ペイントはコーティングをしていないお墓でもよく施工されているので不自然では無いですし、文字は更に読みやすくなるでしょう。
「菊」グレーペイント

最後に見ていただきたいのがグレーのペイントです。クリーニングの後にコーティングをしたい。だけど白ペイントはちょっと目立ちすぎる。という方におススメなのがこのグレーペイントです。
石種にもよりますが彫った感じに近い風合いになっていると思います。骨材入りの塗料を使用することでペイントの不自然さの少ない、石っぽい仕上がりを実現できていると思います。
もう一つのコーティング
石材の汚れや劣化の主な原因は石材が水を吸い込む事です。コーティングにより水を吸い込まないようにすることで石材を汚れや劣化から護ります。そしてここでもう一つポイントがあります。それは”石材は裏面からも水を吸い込む”という事です。
裏面から水を吸い上げる事により発生してしまうのが濡れジミとか吸い上げジミと言われる状態です。

【吸い上げジミ】
石材の下面から水を吸い上げその水をエサに内部カビが発生している状態。クリーニングしても取る事は出来ません。
この吸い上げジミを防ぐために新規建墓の時に裏面処理(裏面コーティング)をするのがおすすめです。これは新規建墓の時しか施工できません。この裏面処理に最適なのが珪酸ナトリウム系の浸透型コート剤です。
今回のサンプルには施工してありませんが、新規建墓時のコーティングではこの裏面処理を合わせて施工しております。
【ケイ酸ナトリウム系コート剤】
御影石の切削面や凝灰岩などの吸水率の高い石材に向いています。目地材の接着力への影響が少なく、コスト面のメリットもあるので裏面処理には最適です。
このように石種やその加工面に応じて最適なコーティング剤、及び施工方法を提供しています。墓石コーティングはクリーニングの後での施工も有効ですが、特におすすめなのが新規建墓時の施工です。
墓石は加工したばかりの新しい状態が最も美しい状態です。出来るだけ長くその美観を維持できるよう墓石コーティングをおススメします。
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