今回は、現場でも使用頻度の高い G663(中国産ピンク御影石) に対するコーティング施工について、ちょっと注意が必要なのでその情報をシェアします。
G663の特徴と施工の基本
G663は桜色系の明るい印象が特徴で、石塔だけでなく外柵にも採用されることの多い石種です。
施工現場では、
- 表面:表面被膜型(ガラスコーティング・セラミックコーティング)
- 裏面:浸透型(止水材)
という使い分けを行うケースが多く、私も同様の施工をしています。
特にG663は吸水率がやや高めなため、裏面処理を含めた対策は重要です。
吸い上げジミは発生してしまったらそれを抜く事は出来ません。
防止できるのは施工前です。
建立前に入荷した石材に裏面処理をして吸い上げジミを防止している石材店は少ないのでクレーム防止の観点からも他店との差別化という側面からも裏面処理はとても有効ですが、今回の話は表面の被膜型コーティングの話です。
表面被膜型コーティングのメリット
表面被膜型コーティングには次のようなメリットがあります。
- 紫外線による退色対策
- 艶・発色の向上
- 石材表面の保護
一般的に黄・赤・紫といった暖色は紫外線の影響を受けやすく、車でも赤い車は色褪せしやすいそうです。
G663は赤系の色素を含むため、紫外線の影響を受けやすい一面があります。
その意味でも、紫外線から護る表面保護を目的とした被膜型コーティングは有効です。
施工後は研磨を一段階上げたようなイメージで、艶が上がり色が濃くなります。
コーティング後の仕上がりに対する評価も高い石種です。
石材店として注意したいポイント:石目が強調される
ここからが本題です。
G663に限った話ではありませんが、天然石は形成過程で必ず模様(石目)を持っています。
施工前には目立たなかった石目が、コーティングによって強調されるケースがあります。
実際の施工写真で説明します。

これがG663をコーティングした後の写真です。
赤マルで印をつけたあたりの石目がそこそこ目立ちます。
コレを見た石屋さんも「結構目立つな。マズイかも」とおっしゃっていました。
ビフォー写真はコチラです。

こうしてみると分かるのですが、コーティングを施工する前からあったのです。
だけどコーティングを施工することによって目立ったのですね。
並べてみるとこんな感じです。
左がビフォーで右がアフター

このように石目というか模様が強調されるという現象が起きます。
これはコーティングの不具合ではありません。言うまもなく鉱物の種類やその密度が一定では無い事に起因しています。
コーティング剤が染み込みやすい所もあれば染み込みにくい場所もある。
石材が工業製品ではなく天然素材である事を理解している石材店様にとっては、理解いただける現象ですね。
製造段階の配慮と現場でのリスク
通常、石材加工の段階で、
- 模様が強い部分は避ける
- 裏面や目立たない位置へ回す
といった配慮がされています。
上記の写真事例も裏側だったので特に問題にはなっていません。
しかし実際の現場では、
- 薄い石目が棹石正面に入っている→それがコーティングで強調されてしまう可能性がある
- 製品段階では許容範囲と判断された→コーティングにより目立つようになり、お客様に指摘されてしまった。
というケースが発生しないとも言い切れません。
石材店としてのリスク管理(重要)
G663に表面被膜型のコーティングを施工する際、以下の点を意識していただくのが良いかもしれません。
① 施工前の確認
- 棹石正面の石目を入念にチェック
- 光の角度を変えて確認
② 事前説明
- 天然石のため石目が強調される可能性があること
- コーティングにより色味や模様の見え方が変化すること
それをあらかじめ伝えておくこと。
この一言があるかどうかで、施工後の認識違いやクレームリスクはかなり下げられるでしょう。
それでもG663はコーティング価値が高い石種
注意点はありますが、それでもG663はコーティングのメリットが非常に大きい石種です。
- 紫外線対策(赤系の石は紫外線に弱い)
- 美観維持(吸い上げジミを防止)
- 発色向上(磨きを1段階上げたように、艶が上がり色が深まる)
という点で、長期的な満足度は高いと感じています。
重要なのは「施工技術」だけでなく、施工前の判断と説明です。
まとめ
今回は、あえて石材コーティングの難しい側面に触れました。
石材コーティングは基本的にメリットの多い施工ですが、天然石である以上、石目や模様の見え方が変わる可能性は避けられません。
特にG663では、
- 施工前の石目確認
- 石材店側からの事前説明
この2点が、仕上がり評価を左右する重要なポイントになると感じています。


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